短歌
tankaCinnamon十首
顔を出すように言われて秋雨のケーキ屋さんはスピッツが好き
かなしくて、シナモンロールのいい香りあとひと月で会社を辞める
久しぶりに会いたい人にゆびを折りひらいてチョコレートコスモス
すこしずつぜんぶがずれていたのだと言われて、そうか遠浅だった
ゆるされてばかりだ秋にさす日傘、あなたの寝ぐせ、海辺のパン屋
なにも言わずにいてくれるからなにも言えずに泣いてしまったたくさんだった
からっぽのからだをあなたに傾けて水平線に波立つ夕陽
フルーツティーそそいで香りたつ秋の鈴の響きのような心地は
秋は空あなたの背中に塗りのばすワセリン両手のひらにぬくめて
からだ、めいっぱいの伸びをしてキンモクセイの雨をあびたら、